メトホルミンの効き方(ダイエットにも効果が?)
メトホルミンの効き方
糖尿病ではまず使用される医療用医薬品です。 合成品と思っていましたが、植物由来であることを知って少々びっくりしました。
ガレガソウという植物から見つかっています。
私がこの薬に注目したのはどうも今糖尿病の世界ではほとんど触れられていない作用機序に効いていることが分かったからです。
ブドウ糖自体は人間が生きていくうえで、エネルギーです。 車でいえばガソリンです。ですからこのブトウ糖を血液の中で保持していくことが大変重要になります。
バックアップシステムがあります。 血中のブトウ糖が下がらないように、肝臓に蓄えられています。グリコーゲンというブトウ糖が数珠玉のようになって保管されています。 次に肝臓がいっぱいになると、体脂肪にブドウ糖を脂質に変えて蓄えていきます。 こうすることで頻繁に食事をとらなくても、短期間ならグリコーゲンを分解してブドウ糖をつくりだして、血糖値を下げないようにしています。 それでもたりなければ体脂肪を分解してブトウ糖を作り出します。
このグリコーゲン分解、脂質からのブトウ糖合成にかかわるのがグルカゴンなんです。
更にブトウ糖は大切なので、腎臓でろ過されて、ブトウ糖は再吸収されています。
グルカゴンはインスリンほど医療業界では汎用されていません。
グルカゴンとインスリンの関係について
インスリンはご存知の通り血糖値をさげます。 グルカゴンはグリコーゲンや脂肪を分解させ血糖値をあげます。 まったく真逆の作用をするわけです。
現代の糖尿病治療薬はインスリンを出させて血糖値をさげたりしていましたが、今はブトウ糖再吸収阻害作用の薬が汎用されています。
つまりその薬をのんでいる人がおしっこをすると、アリがたかってくるという訳です。
このインスリンだけに注目した薬は実は片手落ちとなります。 グルカゴンの働きを止めていないからです。 ひょっとするとグルカゴンの働きを止めることができれば、グリコーゲンの分解ができず、脂質からの糖新生も起こらず、血糖値をあげるシステムが食事からしかとれなくなり、血糖値が急激にさがる可能性があります。
今の治療では血糖値をみて、インスリンに焦点をあててひどくなれば注射までして下げる治療方針です。しかし前述したように血糖値が下がれば、グルカゴンのスイッチが入って、血糖値を上げるシステムが働いてしまうわけです。
一般ではこれは片手落ちという状態です。
家庭でいうなら、旦那さんが一所懸命働いて、旦那さんはワンコイン亭主として一日500円で頑張っていても、奥さんがランチ2000円、旅行に飲み代と、どんどん使ってしまい、ちっとも生活が楽にならないようなものです。とほほ悲しい。
奥さんがグルカゴンですから、奥さんの働きを止めれば、血糖値はばこっと下がる(お金が増える)わけです。インスリン関与しなくても。
このメトホルミンがグルカゴンの働きを邪魔していることが分かってきました。つまりグリコーゲンがブトウ糖に分解するのを邪魔したり、脂質を分解させてブトウ糖をつくるのを邪魔をしていることがわかってきました。
すごいですね。メトホルミンって。
逆にグルカゴン刺激があれば、グルカゴンが過剰になり、俗的には痩せることになりますねえ。 食事もしないでも体内から脂肪を分解させてブトウ糖を作ってくれるから、、、。でも大変危険なものになりますか。
ダイエットにもメトホルミン??
余談ですがメトホルミンをダイエットとして販売している病院さんもありました。
その病院では体重減少、アンチエイジングを謳っています。
いわゆるスマートドラッグ的な売り方です。論文まで引用しているのにはびっくりしました。
6か月で5.8±7kgの減量ができたそうです。 つまり半年で2kgくらいから、13kg近く減量したそうです。 アメリカ人はそもそもでかいですから、日本人にはあまり当てはまらないかもしれませんが、いいデータです。
メトホルミンの最近の作用機序
腸へのブトウ糖が分泌されたのが最近わかりました。 つまり便と一緒に排泄されているのです。これはびっくりです。
こんな作用機序があるなんて最近わかったようです。 ブドウ糖自体は体にとっては必要な物質ですから、メトホルミンが大腸への排泄スイッチを入れているのでしょうか。 これはまだまだ分かったばかりなので、今後の研究課題となるのでしょう。
これから安全でよく効く糖尿の薬がでてくることを切に願います。